
葬儀後の遺影写真はどうする?――飾る場所・片付ける時期・保管の考え方
葬儀を終えて自宅へ戻ると、葬儀で使用した遺影写真をこのあとどうすればよいのか迷うことがあります。
「遺影写真は四十九日まで飾るのでしょうか」
「四十九日が終わったら片付けなければいけませんか」
「仏壇の中へ入れてもよいのでしょうか」
「大きな遺影写真をずっと飾る場所がありません」
「小さな写真へ作り直してもよいですか」
「遺影写真をしまうことは、故人様に失礼になりませんか」
葬儀までは葬儀社が祭壇などを整えてくれるため、遺影写真を葬儀後にどこへ置くかについて、あらかじめ考えていないこともあるでしょう。
しかし、葬儀後はご家庭で遺影写真を管理していくことになります。
遺影写真について、すべての家庭に共通する一つの扱い方が決められているわけではありません。
宗派や地域、ご家庭の考え方、住まいの広さなどによっても異なります。
大切なのは、「いつまで飾らなければならないか」だけで考えるのではなく、ご家族が無理なく故人様を偲ぶことのできる場所や方法を考えることです。
今回は、葬儀後の遺影写真について、後飾り祭壇に置く時期、四十九日後の扱い、仏壇との関係、大きな遺影写真の保管、小さな写真へ作り直す場合などをご紹介します。
葬儀後の遺影写真はどうする?
葬儀で使用した遺影写真は、葬儀を終えたあともご家庭で大切に保管することができます。
仏式の葬儀では、自宅へ戻ったあとに後飾り祭壇を設け、その付近へ遺影写真を飾ることがあります。
後飾り祭壇には、遺骨や位牌、遺影写真などを安置し、花や線香を供えて家族が手を合わせられるようにします。
葬儀後に弔問へ来られた方が、そこで故人様へ手を合わせることもあります。
ただし、後飾り祭壇の形や置くもの、設ける期間などは宗派や地域、ご家庭によって異なる場合があります。
自宅へ戻った際に葬儀社が後飾り祭壇を設置してくれる場合は、遺影写真をどこへ置くのかも一緒に確認しておくと安心です。
後飾り祭壇とは?
後飾り祭壇は、葬儀を終えたあと、自宅で故人様を供養するために設けられる祭壇です。
「中陰壇」と呼ばれることもあります。
仏式では、一般的に遺骨や位牌、遺影写真などを安置し、花や線香などを供えます。
葬儀後に弔問へ来られた方が手を合わせる場所になることもあります。
後飾り祭壇をいつまで設けるかは、ご家庭や宗派などによって異なります。
四十九日の法要を一つの区切りとして片付けることもありますが、納骨の時期などによってその後も設けておく場合があります。
片付ける時期について迷う場合は、菩提寺や葬儀社へ確認するとよいでしょう。
遺影写真は四十九日まで飾る?
仏式では、四十九日の法要を一つの区切りとして後飾り祭壇を片付けるご家庭があります。
そのため、遺影写真も四十九日頃までは後飾り祭壇の付近へ飾ることが多くあります。
ただし、「四十九日を過ぎたら遺影写真も必ずしまわなければならない」という意味ではありません。
四十九日を終えたあとも、そのまま故人様の写真を飾っておくご家庭があります。
反対に、住まいの事情などから大きな遺影写真は保管し、小さな写真だけを身近な場所へ飾ることもあります。
四十九日は供養の一つの区切りではありますが、遺影写真をいつまで飾るかについては、ご家庭の事情や気持ちに合わせて考えてよいでしょう。
四十九日を過ぎたら片付けてもよい
四十九日の法要などを終え、後飾り祭壇を片付けるタイミングで、大きな遺影写真も一緒に片付けることがあります。
「写真をしまったら、故人様を忘れてしまうようで申し訳ない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、遺影写真を常に見える場所へ飾り続けることだけが、故人様を偲ぶ方法ではありません。
写真を大切に保管し、命日や法要などの機会に取り出すこともできます。
また、大きな遺影写真は保管し、普段は小さな写真を飾る方法もあります。
住まいの広さや生活の仕方に合わせて、無理なく続けられる方法を考えましょう。
四十九日を過ぎても飾っていてよい?
四十九日を過ぎたあとも、遺影写真を自宅へ飾っておくことはできます。
「いつまでに片付けなければならない」と急いで決める必要はありません。
故人様の顔を身近に感じられるよう、写真を見える場所へ置いておきたいと考えるご家族もいます。
例えば、
- 仏壇の近く
- リビング
- 家族がよく過ごす部屋
- 故人様がよく使っていた部屋
- 自宅に設けた小さな供養スペース
などへ飾る方法があります。
大切なのは、ご家族が落ち着いて過ごすことのできる場所を選ぶことです。
また、大きな額縁を棚や家具の上へ置く場合は、転倒や落下にも注意しましょう。
遺影写真は仏壇の中へ入れる?
葬儀後に仏壇を整えると、
「遺影写真も仏壇の中へ入れればよいのでしょうか」
と迷うことがあります。
仏壇は、ご本尊を中心にお祀りする場所です。
そのため、遺影写真を仏壇の内部へ置くことについては、宗派や寺院によって考え方が異なることがあります。
遺影写真は仏壇の中へ入れず、仏壇の近くなど別の場所へ飾るご家庭もあります。
また、仏壇の上へ大きな額縁を置く場合は、地震などによる落下にも注意が必要です。
仏壇との位置関係や宗派上の考え方が気になる場合は、菩提寺へ確認すると安心です。
遺影写真を仏壇の中へ置かなければ供養にならない、と考える必要はありません。
リビングへ飾ってもよい?
遺影写真をリビングなど、家族が普段過ごす場所へ飾るご家庭もあります。
故人様の写真を身近に感じられる場所へ置きたいという考えからです。
必ずしも仏間だけへ飾らなければならないものではありません。
ただし、葬儀で使用した大きな遺影写真をリビングへ飾ると、住まいによっては場所を取り、生活空間になじみにくいことがあります。
そのような場合は、写真立てに入る程度の小さな写真へ切り替える方法もあります。
また、葬儀で使用した遺影写真だけにこだわらず、ご家族が好きだった故人様の写真を飾ってもよいでしょう。
故人様らしい笑顔の写真や、日常の一枚を飾ることで、家族が自然に思い出を振り返ることができます。
大きな遺影写真を飾る場所がない場合
葬儀で使用する遺影写真は、式場の祭壇から参列者にも見えるよう、比較的大きなサイズで作られることがあります。
葬儀会場ではちょうどよい大きさでも、自宅へ持ち帰ると、
「思っていたより大きい」
「飾れる壁がない」
「マンションなので置き場所がない」
と感じることがあります。
無理に大きな遺影写真を飾り続ける必要はありません。
後飾り祭壇を片付けるタイミングなどで、大きな写真は保管し、普段は小さな写真へ切り替える方法があります。
大切な写真だからこそ、生活の負担にならない形で残していくことを考えましょう。
小さな遺影写真へ作り直してもよい
大きな遺影写真を自宅へ飾ることが難しい場合は、小さなサイズの写真を用意することができます。
葬儀で使用した元の写真データが残っていれば、写真立てに入る程度のサイズへ改めてプリントすることもできます。
また、葬儀の遺影として使用した写真だけにこだわる必要はありません。
故人様らしい笑顔の写真や、ご家族にとって思い出深い写真などを飾ることもできます。
例えば、
- 写真立てに入るサイズ
- 仏壇の近くへ置きやすいサイズ
- リビングの棚へ置けるサイズ
など、飾る場所に合わせて選びます。
大きな遺影写真を小さな写真へ替えることが、故人様を軽んじることになるわけではありません。
家族が長く大切にできる形を考えましょう。
葬儀で使った写真データも残しておく
葬儀社へ遺影写真の制作をお願いした場合は、使用した元の写真や画像データが手元に残っているか確認しておくと安心です。
後から、
「小さい写真を作りたい」
「親族にも同じ写真を渡したい」
「別の額縁へ入れたい」
と思うことがあります。
元の画像データがあれば、必要なサイズで改めてプリントしやすくなります。
スマートフォンやパソコンだけに保存している場合は、機種変更や故障などで失わないよう、別の場所にも保存しておく方法があります。
クラウドサービスや外部の記録媒体などを利用する場合も、家族が必要なときに分かるよう保管場所を共有しておくとよいでしょう。
額縁から外して保管してもよい
大きな遺影写真を使用しない場合、額縁に入れたまま保管すると場所を取ることがあります。
必要に応じて、写真を額縁から外して保管する方法もあります。
外した写真は、折れたり汚れたりしないよう、写真用のケースやファイルなどへ入れて保管しましょう。
額縁についても、再び使用する予定がある場合は保管し、不要な場合は処分を検討できます。
ただし、写真が額縁へ貼り付けられている場合など、無理に取り外すと傷つくことがあります。
外し方が分からない場合は、写真店や遺影写真を制作した葬儀社へ相談してもよいでしょう。
写真が色あせないように保管する
遺影写真を長期間残しておきたい場合は、直射日光や湿気などにも注意します。
写真を強い日差しの当たる場所へ長く飾っていると、色あせや変色につながることがあります。
飾る場合は、直射日光が長時間当たり続ける場所を避けるとよいでしょう。
保管する場合も、
- 高温多湿になる場所
- 結露しやすい場所
- 水にぬれる可能性がある場所
などは避けます。
大切な写真は画像データも合わせて保管しておくと、将来写真が傷んだ場合にも作り直しやすくなります。
複数の遺影写真が増えてきた場合
長く暮らしているご家庭では、祖父母や両親などの遺影写真が少しずつ増えていくことがあります。
以前は、和室の鴨居などへ代々の遺影写真を並べて飾るご家庭もありました。
一方、現在の住まいでは、
「何枚も飾る場所がない」
「引っ越し先へすべて持っていくことが難しい」
ということもあります。
すべてを大きな額縁のまま飾り続ける必要はありません。
大きな写真は保管し、小さな写真へそろえたり、家族のアルバムへまとめたりする方法があります。
長い年月がたつと、写真を見ても誰なのか分からなくなることがあります。
保管するときは、写真の裏面やケースなどへ氏名や家族との関係を書いておくと、次の世代にも伝わりやすくなります。
故人様の写真をアルバムへまとめる方法もある
遺影写真だけを特別な一枚として残すだけでなく、生前の写真と一緒にアルバムへまとめる方法もあります。
旅行、家族行事、趣味、日常生活など、さまざまな写真を見返すことで、故人様との思い出を家族で振り返ることができます。
葬儀の遺影写真は、故人様を代表する一枚として選ばれたものですが、その写真だけが故人様のすべてではありません。
「遺影写真をどこへ飾るか」だけでなく、
「これから故人様の写真をどのように残していきたいか」
という視点で考えてもよいでしょう。
デジタル写真が多い場合も、家族が後から見つけられるよう整理しておくと安心です。
遺影写真を処分してもよい?
長い年月がたち、住まいの整理や引っ越しなどをきっかけに、遺影写真の処分を考える場合があります。
故人様の写真であるため、「そのまま処分してよいのだろうか」と抵抗を感じる方もいるでしょう。
遺影写真について、すべての家庭に共通する一つの処分方法が決められているわけではありません。
ご家庭で処分することに抵抗がない場合は、写真や額縁を自治体の分別方法に従って処分することも考えられます。
そのまま処分することに気持ちの整理がつかない場合は、寺院などへ相談し、お焚き上げなどを受け付けているか確認する方法もあります。
ただし、すべての寺院が遺影写真や額縁のお焚き上げを受け付けているわけではありません。
依頼したい場合は、事前に確認しましょう。
遺影写真を処分しても思い出がなくなるわけではない
遺影写真を処分することに罪悪感を持つ方もいます。
特に、長年自宅へ飾ってきた写真の場合は、
「処分したら故人様に申し訳ない」
と感じることもあるでしょう。
しかし、故人様を偲ぶ方法は、葬儀で使用した大きな遺影写真を持ち続けることだけではありません。
小さな写真を残す、アルバムを残す、画像データとして保存する、命日などに思い出を振り返るなど、さまざまな方法があります。
住まいや家族の状況が変わる中で、無理なく続けられる形へ変えていくこともできます。
処分するか迷っている場合は、急いで決める必要はありません。
いったん保管しておき、気持ちが落ち着いてから考えてもよいでしょう。
家族によって「飾りたい」「しまいたい」が違う場合
遺影写真への感じ方は、家族によって異なります。
「いつでも顔を見られるように飾っておきたい」という方もいれば、
「見るたびに葬儀を思い出してしまうので、しばらくしまっておきたい」
と感じる方もいます。
どちらが正しいというものではありません。
同じ家で暮らしている場合は、一人だけの考えで置き場所を決めず、それぞれの気持ちを聞いてみましょう。
例えば、
- 大きな写真は保管する
- 小さな写真を仏壇の近くへ置く
- 家族がよく使う場所から少し離れた場所へ置く
- しばらく飾ったあと改めて考える
などの方法があります。
遺影写真は故人様を偲ぶためのものです。
その置き場所をめぐって、ご家族が無理をしたり気持ちを我慢したりしないようにしましょう。
故人様が使っていた部屋へ置く場合
故人様が使っていた部屋が残っている場合、その部屋へ遺影写真を飾ることもあります。
故人様の持ち物や思い出の品と一緒に置き、家族が時々訪れて手を合わせるという方もいるでしょう。
一方、遺品整理や部屋の片付けを進める中で、いつまでも同じ状態を残しておくことが難しくなる場合があります。
部屋を片付けることと、故人様を忘れることは同じではありません。
生活環境の変化に合わせて、写真を別の場所へ移したり、小さなものへ替えたりして構いません。
引っ越しをするときはどうする?
引っ越しや住み替えの際に、大きな遺影写真を新居へ持っていくか迷うことがあります。
新居に十分なスペースがある場合は、そのまま持っていくことができます。
一方、小さな住宅へ移る場合などは、大きな額縁を飾ったり保管したりすることが難しいこともあります。
その場合は、
- 写真だけを保管する
- 小さなサイズへ作り直す
- 画像データとして残す
- アルバムへまとめる
などの方法を検討します。
引っ越しをきっかけに、ご家族で写真の残し方について話し合ってもよいでしょう。
遺影写真に決まった置き場所があるわけではない
遺影写真について、
「方角は決まっていますか」
「高い場所へ置かなければいけませんか」
「仏壇のどちら側へ置けばよいですか」
といった疑問を持つ方もいます。
宗派や家庭による考え方はありますが、すべての家庭に共通する一つの置き場所が決められているわけではありません。
ご家庭の仏壇や宗派との関係で気になる場合は、菩提寺へ確認すると安心です。
また、実際の置き場所については、写真が落下しないことや、直射日光や湿気で傷みにくいことも大切です。
形式だけではなく、安全に飾り続けられる場所かどうかも考えましょう。
家族が手を合わせやすい場所を考える
遺影写真をどこへ置くか迷ったときは、
「家族が無理なく故人様を思い出せる場所か」
という視点で考えてみましょう。
毎日手を合わせたい方であれば、仏壇の近くや、生活の中で自然に目に入る場所がよいかもしれません。
一方、写真を見ることがまだつらい時期には、しばらく静かな場所へ保管する方法もあります。
家族の気持ちは時間とともに変わることがあります。
最初に決めた置き場所をずっと変えてはいけないわけではありません。
その時々の家族の気持ちや暮らしに合わせて考えていきましょう。
迷ったときは菩提寺や葬儀社へ相談する
遺影写真の扱いについて、宗教的な考え方や地域の習慣が気になる場合は、菩提寺へ確認する方法があります。
後飾り祭壇をいつ片付けるのか、葬儀後の遺影写真をどのように扱えばよいのかなどは、葬儀社へ相談してもよいでしょう。
また、額縁や写真のサイズを変更したい場合は、遺影写真を制作した葬儀社や写真店などへ相談できる場合があります。
「こうしなければならない」と一人で悩まず、分からない部分だけ確認しながら、ご家庭に合った方法を選びましょう。
まとめ
葬儀で使用した遺影写真は、葬儀後に後飾り祭壇の付近へ飾ることがあります。
仏式では、四十九日の法要を一つの区切りとして後飾り祭壇を片付ける場合がありますが、遺影写真もその日に必ずしまわなければならないというものではありません。
四十九日を過ぎたあとも飾っておくことができますし、大きな遺影写真を保管して、小さな写真だけを身近な場所へ置く方法もあります。
遺影写真を仏壇の内部へ置くかどうかなど、宗派による考え方が気になる場合は、菩提寺へ確認すると安心です。
大きな遺影写真を飾る場所がない場合は、小さなサイズへ作り直したり、写真だけを保管したりすることもできます。
元の写真データがある場合は、将来写真を作り直すときのために残しておきましょう。
長い年月の間に遺影写真が増えた場合は、小さな写真へそろえたり、アルバムへまとめたりする方法もあります。
遺影写真を処分したい場合も、すべての家庭に共通する一つの方法が決められているわけではありません。
家庭で処分することに抵抗がある場合は、寺院などへ相談する方法もあります。
遺影写真をしまったり、処分したりすることが、故人様を忘れることになるわけではありません。
反対に、いつまでも大きな遺影写真を飾っておかなければ供養にならないということでもありません。
故人様との思い出を大切にしながら、住まいの広さやご家族の気持ちに合った、無理のない残し方を考えていきましょう。
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