
香典は袱紗に包む?――色・包み方・受付での渡し方
通夜や葬儀へ香典を持参するとき、「香典袋をそのままバッグへ入れてよいのだろうか」と迷うことがあります。
「香典は必ず袱紗に包まなければいけませんか」
「紫色の袱紗は葬儀でも使えますか」
「慶事用の袱紗しか持っていない場合はどうすればよいでしょうか」
「金封袱紗はどちら向きに入れますか」
「受付では袱紗ごと渡すのでしょうか」
「袱紗を忘れてしまった場合は、ハンカチで代用できますか」
このような疑問を持つ方もいるでしょう。
袱紗は、香典袋などの金封を包んで持ち運ぶために使われるものです。
香典袋が折れたり汚れたりすることを防ぐだけでなく、金封を丁寧に扱うという意味でも使われています。
ただし、袱紗を持っていなければ葬儀へ参列できないというものではありません。
袱紗がない場合には、落ち着いた色のハンカチや風呂敷などで丁寧に包んで持参する方法もあります。
また、袱紗には一枚の布で包むもの、台が付いたもの、香典袋を差し込む金封袱紗など、いくつかの種類があります。
今回は、葬儀へ香典を持参するときの袱紗について、使う理由、弔事に適した色、包み方、袱紗を持っていない場合、受付での取り出し方や渡し方をご紹介します。
袱紗とは?
袱紗は、香典や祝儀などの金封を包んで持ち運ぶために使われる布や袋状の入れ物です。
通夜や葬儀だけでなく、結婚式などの慶事でも使用されます。
ただし、弔事と慶事では適した色や包み方が異なります。
葬儀では、香典袋を袱紗に包んでバッグなどへ入れ、受付の前で取り出してお渡しするのが一般的です。
袱紗そのものを故人様やご遺族へお渡しするものではありません。
香典袋を受付まで丁寧に持ち運ぶためのものと考えると分かりやすいでしょう。
なぜ香典を袱紗に包むの?
香典袋は紙でできているため、そのままバッグへ入れると折れたり、水引が崩れたりすることがあります。
ほかの荷物と擦れて汚れてしまうこともあります。
袱紗に包むことで、香典袋をきれいな状態で持ち運びやすくなります。
また、弔意を込めて用意した香典を丁寧に扱うという意味でも袱紗が使われています。
大切なのは、高価な袱紗を使うことではありません。
受付で香典袋が折れたり汚れたりしていないよう、丁寧に持参することを心掛けましょう。
袱紗は必ず必要?
袱紗は香典を持参するときに用意しておきたいものですが、持っていないからといって葬儀へ参列できないわけではありません。
急な訃報を受け、
「袱紗を持っていない」
「自宅へ取りに戻る時間がない」
という場合もあるでしょう。
そのようなときに、袱紗を探すために葬儀へ遅れてしまう必要はありません。
香典袋が折れたり汚れたりしないよう丁寧に扱い、会場へ向かいましょう。
手元に落ち着いた色のハンカチや布がある場合は、代わりに包んで持参する方法もあります。
弔事の袱紗は何色を選ぶ?
通夜や葬儀などの弔事では、派手さを抑えた落ち着いた色の袱紗を選びます。
例えば、
- 紫
- 紺
- グレー
- 深い緑
などが使われます。
特に紫色の袱紗は、慶事と弔事の両方に使用できるものとして選ばれることがあります。
一つ用意しておきたい場合には、紫色を候補にしてもよいでしょう。
ただし、商品によって用途が示されている場合は、その案内も確認します。
赤やピンクなど明るい色は避ける
弔事では、赤、ピンク、オレンジなど、祝い事を連想させる明るい色の袱紗は避けた方がよいでしょう。
結婚式用として華やかな柄や装飾が入った袱紗も、葬儀では使用しない方が安心です。
手元に慶事用しかない場合は、無理にそれを使用するより、落ち着いた色のハンカチなどで香典袋を包む方法があります。
「袱紗なら何色でもよい」と考えるのではなく、葬儀の場に合う落ち着いたものを選びましょう。
紫色なら何でも使える?
紫は弔事にも用いられる色ですが、同じ紫でも色合いやデザインはさまざまです。
落ち着いた濃い紫で、装飾の少ないものは葬儀でも使いやすいでしょう。
一方、光沢が強いものや華やかな刺繍が大きく入ったものなどは、商品の用途を確認した方が安心です。
これから袱紗を購入する場合は、仏具店や百貨店などで「香典を包むために使いたい」と伝えて選ぶ方法もあります。
袱紗にはどんな種類がある?
袱紗には、いくつかの形があります。
代表的なものとして、
- 一枚の布で包むタイプ
- 台付き袱紗
- 金封袱紗
などがあります。
一枚布の袱紗は、香典袋を包むように折って使用します。
台付き袱紗は、金封を載せる台が付いたものです。
金封袱紗は、財布やケースのような形をしており、香典袋を差し込んで使用します。
どの種類でなければならないというものではありません。
使いやすさや持ち運びやすさに合わせて選びましょう。
金封袱紗は初めてでも使いやすい
金封袱紗は、香典袋を差し込むだけで持ち運べるため、袱紗の包み方に慣れていない方にも使いやすい形です。
バッグの中でも香典袋を保護しやすく、受付でも取り出しやすいという特徴があります。
ただし、慶事用と弔事用で開く方向やデザインが異なる商品があります。
購入するときは、弔事に使用できるものか確認しましょう。
また、大きな水引が付いた香典袋などは、金封袱紗のサイズによって入らない場合もあります。
普段使用する香典袋が収まる大きさかも確認しておくと安心です。
金封袱紗へ香典を入れる向き
金封袱紗は、慶事と弔事で開く向きが異なります。
一般的には、弔事では左側から開く向きになるよう使用します。
慶弔両用の金封袱紗を使う場合は、向きを間違えないようにしましょう。
ただし、商品によって形や使い方が異なることがあります。
購入時の説明やパッケージなどに記載されている使い方を確認しておくと安心です。
一枚布の袱紗で包む場合
一枚の布になった袱紗では、中央付近へ香典袋を置き、布を折りたたんで包みます。
弔事では、一般的に右側、下側、上側、左側の順に折り、最後に左側を重ねる形で包みます。
慶事とは折る順番が異なります。
ただし、袱紗の形や台の有無などによって扱いが異なる場合があります。
初めて使用する袱紗では、商品の説明を確認してから包むと安心です。
包むことだけに時間をかけすぎる必要はありません。
香典袋を傷めないよう、落ち着いて扱いましょう。
香典袋を袱紗に入れたまま受付へ行く
会場へ向かう途中で香典袋を袱紗から出しておく必要はありません。
香典袋は袱紗へ包んだ状態でバッグなどへ入れて持参します。
受付へ着いたら、順番が来たところで袱紗を取り出します。
受付から離れた場所で早い段階から香典袋をそのまま持ち歩くよりも、渡す直前まで袱紗で保護しておくとよいでしょう。
袱紗はどこに入れて持ち運ぶ?
袱紗に包んだ香典は、バッグへ入れて持ち運ぶことができます。
バッグの中では、
- 水筒など水分のあるもの
- 硬く角のあるもの
- 重い荷物
などと強く接触しないようにすると安心です。
香典袋の水引がつぶれたり、金封袱紗が折れたりしない場所へ入れましょう。
男性の場合も、袱紗が入るバッグなどを利用する方法があります。
ポケットへ無理に押し込むと香典袋が折れることがあるため注意しましょう。
受付ではいつ袱紗を取り出す?
通夜や葬儀の受付へ着いたら、前の方の受付が終わるのを待ち、自分の順番になったところで袱紗を取り出します。
バッグから香典袋だけを直接取り出すのではなく、まず袱紗ごと取り出します。
受付ではお悔やみの言葉を簡潔に伝え、香典をお渡しします。
会場によっては先に記帳を案内される場合もあります。
受付担当者やスタッフから案内があれば、その流れに従いましょう。
香典は袱紗から出して渡す
受付では、香典袋を袱紗に包んだまま相手へ渡すのではありません。
袱紗から香典袋を取り出してお渡しします。
一枚布の袱紗などでは、取り出したあとに袱紗をたたみ、その上へ香典袋を載せる方法があります。
金封袱紗の場合は、香典袋を取り出して袱紗を閉じます。
そのうえで、香典袋を受付の方から表書きが読める向きにし、両手で差し出します。
袱紗そのものを受付へ預けるわけではありません。
香典袋は相手から読める向きへ
自分の側から香典袋の文字が読める状態のまま差し出すと、受付の方からは上下が逆になります。
香典をお渡しするときは、香典袋の表書きが受付の方から読める向きになるよう方向を変えます。
そのうえで、両手で丁寧に差し出しましょう。
受付では、
「このたびはご愁傷様でございます」
「心よりお悔やみ申し上げます」
など、短くお悔やみを伝えることがあります。
長い挨拶をする必要はありません。
袱紗の上に香典袋を載せて渡す場合
包むタイプの袱紗を使用している場合は、取り出した袱紗を小さくたたみ、その上へ香典袋を載せて差し出す方法があります。
袱紗をお盆のようにして、香典袋を両手で差し出します。
ただし、受付台の広さや混雑状況によっては、無理に形を整えることでかえって時間がかかることがあります。
大切なのは、香典袋を丁寧に取り出し、相手へ向けて両手で渡すことです。
細かな動作だけを気にして慌てないようにしましょう。
金封袱紗の場合はどう渡す?
金封袱紗の場合は、ケースから香典袋を取り出します。
袱紗を閉じたあと、香典袋を相手から文字が読める向きにして両手で差し出します。
袱紗を一枚布のように広げる必要はありません。
取り出したあとの袱紗は、バッグへ戻すか、受付が終わるまで手元へ持っておきます。
受付が混雑している場合もあるため、香典袋を取り出す動作は落ち着いて行いましょう。
受付で袱紗を落とさないようにする
受付では、バッグ、袱紗、香典袋などを同時に扱うため、手元が慌ただしくなることがあります。
特に冬場はコートや手袋などを持っている場合もあります。
受付の直前になって慌てないよう、不要な荷物は事前に整理しておきましょう。
袱紗を取り出す際に香典袋やバッグを床へ落とさないよう注意します。
数珠も持っている場合は、どちらの手で何を持つかをあらかじめ整理しておくと受付をスムーズに進めやすくなります。
記帳と香典はどちらが先?
受付では、芳名帳への記帳と香典の受け渡しがあります。
どちらを先に行うかは、会場の受付方法によって異なることがあります。
受付担当者から、
「こちらへご記帳をお願いします」
「お香典をお預かりします」
などと案内される場合は、その順番に従いましょう。
自分で順番を決めなければ失礼になるというものではありません。
会場ごとの受付方法に合わせれば問題ありません。
夫婦で参列する場合の袱紗は?
夫婦で一緒に参列し、香典を一つの香典袋で用意している場合は、その香典袋を一つの袱紗へ包んで持参します。
夫婦それぞれが同じ香典袋のために袱紗を用意する必要はありません。
受付では、代表して一人が香典を渡すことができます。
記帳については、会場の案内や香典袋に記載した名前などに合わせて対応します。
夫婦それぞれが別の香典を用意する場合は、それぞれ丁寧に持参しましょう。
家族の香典を預かっている場合
参列できない家族や親族から香典を預かり、代わりに持参する場合があります。
複数の香典袋を預かっている場合は、バッグの中で混ざったり折れたりしないように注意します。
大きめの袱紗や金封をまとめて保護できるケースなどを利用する方法もあります。
受付では、誰から預かった香典なのか分かるようにしておくと安心です。
自分の香典と預かった香典を混同しないよう、出発前に確認しましょう。
袱紗を持っていない場合
急な訃報で袱紗を用意できない場合もあります。
そのようなときは、落ち着いた色のハンカチや小さな風呂敷などで香典袋を包む方法があります。
例えば、
- 黒
- 紺
- グレー
- 落ち着いた紫
などの無地に近いものが使いやすいでしょう。
大きな柄や明るい色、華やかな装飾のあるものは避けた方が安心です。
手元に適した布がない場合は、香典袋が折れたり汚れたりしないよう丁寧にバッグへ入れて持参します。
白いハンカチでもよい?
袱紗の代わりとしてハンカチを使用する場合、弔事に合う落ち着いたものを選びます。
白い無地のハンカチしか持っていない場合は、それを使って丁寧に包むことも考えられます。
ただし、レースが大きく付いたものや華やかな刺繍、派手な柄があるものは避けましょう。
袱紗がないことを気にして参列を遅らせるより、手元にある落ち着いた布で丁寧に扱うことを優先します。
ティッシュや紙で包むのは?
袱紗がないからといって、香典袋をティッシュペーパーや包装紙などで包む必要はありません。
薄い紙では香典袋を十分に保護できず、見た目にも不自然になりやすいためです。
ハンカチなど適した布がない場合は、香典袋が折れないようバッグの中へ丁寧に入れて持参しましょう。
袱紗がないことだけを必要以上に気にする必要はありません。
慶事用の袱紗しかない場合
自宅に袱紗はあるものの、赤やピンクなどの慶事向けのものしかない場合があります。
その場合は、無理に慶事用を使用する必要はありません。
落ち着いた色のハンカチなどがあれば、代用する方が葬儀の場にはなじみやすいでしょう。
今後も葬儀や法要へ参列する機会を考え、弔事用または慶弔両用の袱紗を一つ用意しておく方法もあります。
袱紗はどこで購入できる?
急に袱紗が必要になったとき、近くで購入できないか探すことがあります。
袱紗は、仏具店、百貨店、量販店、文具や冠婚葬祭用品を扱う店舗などで販売されていることがあります。
ただし、店舗によって取り扱いは異なります。
葬儀へ向かう途中で何軒も探し回り、開始時刻に遅れてしまう必要はありません。
手元に代用できる落ち着いた布がある場合は、それを利用することも考えましょう。
高価な袱紗を用意する必要はない
袱紗には素材や仕立てによってさまざまな価格のものがあります。
しかし、葬儀へ香典を持参するために、高価な袱紗を用意しなければ失礼になるというものではありません。
香典袋をきれいな状態で持ち運べ、葬儀の場に合った落ち着いたデザインであれば十分です。
初めて購入する場合は、使いやすさも考えましょう。
包み方に慣れていない方であれば、金封袱紗を選ぶ方法もあります。
一つ持っておくと急なときに慌てにくい
訃報は突然届くことがあります。
そのため、
- 数珠
- 袱紗
- 黒いバッグ
- ハンカチ
など、葬儀へ参列するときに使用するものの保管場所を決めておくと安心です。
袱紗も、普段使用するものではないため、どこへしまったか分からなくなることがあります。
喪服などと一緒に保管しておけば、必要になったときに見つけやすくなります。
袱紗を忘れても参列を諦めない
会場へ向かう途中で、
「袱紗を忘れた」
と気付くこともあります。
しかし、袱紗を取りに戻るために通夜や葬儀へ遅れてしまう必要はありません。
袱紗は香典を丁寧に持ち運ぶためのものですが、持っていないことだけで参列できなくなるわけではありません。
香典袋が折れたり汚れたりしないよう注意し、そのまま会場へ向かいましょう。
会場へ着いたあとは、香典袋を相手へ向けて丁寧に渡せばよいでしょう。
香典を辞退されている場合は持参しない
葬儀の案内に、
「香典は辞退いたします」
「ご厚志は辞退申し上げます」
などと記載されている場合があります。
その場合は、袱紗や香典袋を準備する前に、ご遺族の意向を確認しましょう。
香典辞退が明確に案内されている場合は、その意向を尊重します。
「せっかく用意したから」と受付で無理に渡すことは避けましょう。
弔意は香典だけで伝えるものではありません。
受付がない場合はどうする?
家族葬や小規模な葬儀では、一般的な受付を設けていない場合があります。
その場合も、自己判断で祭壇や席などへ香典を置くことは避けます。
会場のスタッフへ、
「香典をお持ちしたのですが、どちらへお渡しすればよいでしょうか」
と確認しましょう。
ご遺族側の担当者へ案内してもらえる場合があります。
香典を辞退している葬儀の場合もあるため、まず確認すると安心です。
受付で慌てなくてもよい
初めて袱紗を使うと、
「包み方が合っているか」
「どちら向きに渡すのか」
「袱紗をどこへ置けばよいのか」
と、受付の直前に不安になることがあります。
しかし、一つひとつの動きを完璧に見せることが目的ではありません。
香典袋を丁寧に扱い、受付の方が読みやすい向きにして両手でお渡しすることを意識しましょう。
会場で案内がある場合は、その案内に従います。
細かな作法を気にして慌てるより、落ち着いてご遺族への弔意を表すことが大切です。
まとめ
通夜や葬儀へ香典を持参するときは、香典袋を袱紗へ包んで持ち運ぶことが一般的です。
袱紗には、香典袋が折れたり汚れたりすることを防ぎ、丁寧に扱うという意味があります。
弔事では、紫、紺、グレーなどの落ち着いた色が使われます。
赤やピンクなど祝い事を連想させる明るい色や、華やかなデザインのものは避けた方がよいでしょう。
袱紗には、一枚布、台付き袱紗、金封袱紗などがあります。
どの形でなければならないというものではなく、自分が扱いやすいものを選ぶことができます。
受付へ着いたら、袱紗から香典袋を取り出します。
香典袋は、受付の方から表書きが読める向きにして、両手で丁寧にお渡ししましょう。
袱紗そのものを受付へ渡すわけではありません。
袱紗を持っていない場合は、黒、紺、グレーなどの落ち着いた色のハンカチや風呂敷を代用する方法があります。
適した布がない場合も、香典袋が折れたり汚れたりしないよう丁寧に持参すればよいでしょう。
袱紗を忘れたからといって、取りに戻って葬儀へ遅れたり、参列を諦めたりする必要はありません。
大切なのは、袱紗そのものを持っているかどうかだけではなく、ご遺族への弔意を込めて香典を丁寧に扱うことです。
受付では落ち着いて、会場の案内に従いながらお渡ししましょう。
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